育児休業中だった四年ほど前。かわいいわが子の寝顔を見ていて、ふと不安を覚えました。このままでは、子離れができないかもしれない−。そう思ったのです。子ども以外に夢中になれる何かが、自分には必要だと気づきました。
はじめて囲碁教室に足を運んだのは、それからほどないある日のことです。ルールが少ないから、自分にも覚えられるだろう。そんな軽い気持ちでした。
碁の面白さ、楽しさ、素晴らしさは、私の想像を超えていました。対局ができるくらいに上達すると、ひさしく忘れていた「ドキドキ」を感じるようになったのです。
チャンスのときもピンチのときも、心臓が早鐘を打って、血が体中をぐるぐる回る感じがします。勝った喜びはもちろん、負けた悔しさも、毎日の生活にハリを持たせてくれました。いさぎよく「足りません」と言う勇気は、人生の他の場面でも必要なものではないでしょうか。大袈裟ではなく、盤上にはロマンがあります。
碁を打つ時間を増やしたい一心で、囲碁サロンに勤めるようになったのが、二年前のことでした。思いはさらに昂じて、この春とうとう、自分で囲碁サロンを始めることになりました。
私は級位者です。けれども、碁の魅力をたくさんの人に知らせたいという気持ちは、他の誰より強いと自負しています。高段者から級位者まで、大人から子どもまで、そして碁をまったく知らない人たちも、楽しく気軽に集える−。それが私の思い描く理想の囲碁サロンです。
お集まりいただいた方々に、優雅な気持ちでお楽しみいただけるよう、
名を「優碁」といたしました。
みなさまのお運びを心よりお待ち申し上げます。
平成十九年四月
囲碁サロン 「優碁」席亭・北原直美
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